2019年度 第2回 定例研究会

<わが国におけるトラストサービスの展望>

2019年09月26日開催

講演概要

サイバーフィジカルの一体化によるデータ流通が進展する中で、サイバー空間における信頼性の確保が課題です。このため、電子署名・利用者認証・タイムスタンプ等を提供するトラストサービスが、通信相手の正当性や通信の完全性を確保する基盤サービスとして、益々重要になって来ています。EU等では包括的な規則に基づく優れたトラストサービスが提供されており、今後わが国でも同様の動きが予想されます。この分野でわが国をリードされている手塚先生に、トラストサービスの現状と課題、国際連携を踏まえた今後の展望を解説していただきます。

講師


慶應義塾大学
環境情報学部 教授

手塚 悟 氏

セミナーレポート

第2回定例研究会は慶應義塾大学 手塚 悟 氏をお招きし、「わが国におけるトラストサービスの展望」をテーマに、ご講演を頂きました。

現在、実空間において対面や紙を通じて行っているやり取りが、今後サイバー空間におけるやり取りに置き換わることが想定されています。その時に利用されるデータの有効性を担保するためには、基盤となるサイバー空間の安全性や信頼性の確保が重要であり、ネット利用者の本人性確認やデータ改ざん防止等の仕組みであるトラストサービスの必要性が高まっています。

手塚先生からは、トラストサービスの先進国の事例として、米国国防省案件における DFARS(国防省調達規則)の要求事項、サプライチェーンに関わるすべての企業・組織に対するCUI (Controlled Unclassified Information) の取組み状況等、また、EUの事例としてeIDAS規則の目的やトラストサービスとの関係、eIDカードの利用状況やEU域内のトラストサービスの枠組みをご説明いただきました。
また、わが国のトラストサービスの状況として、現行の電子署名法、公的個人認証サービスに関する法律等の法制度や電子委任状の枠組み、EU・日本の制度比較をご紹介いただくとともに、今後のトラストサービス普及に向けた課題、「Society 5.0」実現に向けたトラストサービスの利活用方法や今後の米国・EUとの国際連携の構想もご説明いただき、参加者からトラストサービスに対する理解がより深まったとの声が多く寄せられました。また、手塚先生が直近で米国、ヨーロッパを訪問した際の現地の最新情報や関係企業・組織の生の声をご紹介いただくなど、大変貴重な機会となりました。

当日の参加人数は71名でした。講演終了後のQ&Aにおいても、具体的な質問が出され、熱心な討議が行われました。

講演資料

講演資料は下記からダウンロードできます。(JASA会員/CAIS・QISEIA資格者のみ。ログインが必要です)

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